悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
17:00。
灯里は玄関で靴を履き、玲士のご両親と兄夫婦、そして翔太に一礼した。
「お邪魔しました」
「またぜひいらしてね、灯里さん」
玲士の母がにこにこと笑いながら言う。
灯里は玲士に連れられ、水澤家を後にした。
あれから灯里は玲士とともに談話室に戻り、お茶とお菓子を前に玲士の家族と歓談した。
そして日が陰る頃、玲士の家を辞すことにした。
夕日が街路樹を赤く照らす。
……初夏の夕暮れ。
灯里は玲士とともにバス停への道を歩きながら大きく伸びをした。
思った以上に普通の家庭だった。
ほっと息をつく灯里に玲士がくすりと笑う。
「普通だったでしょ?」
「そうね。玲士の実家っていうからどんな魔窟かと思ってたけど」
「……」
「おかしいのは玲士だけってことがよくわかった。あぁよかった、みんな普通の人で」
「……なかなか言うね、お前」