悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
二章
1.初夏の海
翌週の週末。
灯里は玲士とともに海岸線近くの小さな駅に降り立った。
灯里の住む町と東京のちょうど間ぐらいにある小さな港町だ。
この町は昔から避暑リゾートとして有名で、毎年夏になると観光客が押し寄せる。
「海だ~!」
灯里は改札をくぐり、目の前に広がる景色に目を輝かせた。
松林から続く白い砂浜に、紺碧の海。
砂浜の手前にはサーフボードや小舟がしまわれているのだろう、小さな舟小屋が並んでいる。
目を輝かせる灯里の隣で玲士も眩しそうに海を眺めている。
「おれのマンションからも海は見えるけど、やっぱりこうして近くで見ると違うね」
「キレイだねー。あ、あっちから砂浜に行けるみたい」
灯里は言いながら浜辺に向かって歩き出した。
今日は快晴で、風が穏やかで波も立っていない。
繰り返し押し寄せる波を見ていると心が洗われるような気がする。
灯里はバッグを肩にかけ、波打ち際へと歩いていった。
灯里の胸元にはホワイトデーに玲士にもらったネックレスが輝いている。
今日はハーフジーパンに花柄のチュニックという格好だが、玲士がくれたネックレスはシンプルなのでどんな格好にも似合う。