悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
玲士の指が灯里の頬に伸びる。
はっと顔を上げると玲士の視線が目前に飛び込んできた。
いつ見ても美しい、その瞳、その顔立ち……。
灯里はなぜか玲士の顔を直視できず、視線を逸らした。
「……なんでもないよ」
「なに? 言いなよ。……お前ミジンコなんだから。数少ない細胞を悩みに費やすのは効率悪いよ?」
「……」
明らかにバカにされているが正論のような気もしなくもない。
やはり自分はいつまでたっても微生物らしい。
認めたくはないが微生物呼ばわりされることに慣れてきてしまっている自分もいる。
はぁとため息をついた灯里に、玲士はさらに顔を近づける。
「聞いてるの? 灯里」
「……聞いてるよ」
灯里はそっと玲士の手を外し、海の方を見た。
こんな悩み、玲士に相談できるはずがない……。
自分で解決しなければならないことだ、もう大人だし。
灯里は波が押し寄せる手前の、砂利と砂が混ざったあたりをゆっくりと歩いていた。
しかし数歩歩いたところで後ろから玲士に強く肩を掴まれ、息を飲んだ。