悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「大したことじゃないよ。あたしも頑張らなきゃって思っただけ」
「頑張る? 何を?」
「何ってわけじゃないけど……」
灯里は言い淀んだ。
……まだ、自分でもよくわかってはいないのだ。
そんな灯里の目の前で、玲士の瞳がすっと冷たく細められる。
「……お前まさか、美容に目覚めたとか言うんじゃないだろうね?」
「はぁ?」
灯里は目を見開いた。
あらぬ方向に話が飛んだ気がする。
しかし玲士は真剣な顔のまま灯里の顔をじっと見つめている。
「ミジンコがいくら化粧をしても、それはミジンコでしかない。ミジンコがいくら外見を誤魔化したところで、ゾウリムシになれるわけじゃないよ」
「イヤ別に、ゾウリムシになりたいわけじゃ……」
「要するに。お前はなにもしなくていいってこと。おれは今のお前が好きだよ?」