悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「ではさっそく始めようか」
既に陽は海の向こうに落ち、夜闇がウッドテラスに広がっている。
テーブルに置かれた二つのキャンドルライトが海風にかすかに揺れる。
……なんだか、すごく雰囲気のあるテーブルだ。
灯里は少し緊張しながら椅子に座った。
灯里の向かいで玲士はシャンパンのボトルと置かれていた布を手に取った。
慣れた手つきでキャップと針金をはずし、布を当ててコルクを抜く。
シュッとかすかな音が響いた。
「慣れてるね、玲士」
「おれの実家はみんなワイン派でね。昔から食卓にはワインやらシャンパンやらが並んでたんだ」
「へぇ……」
「おれはあまり飲まなかったけどね。家にいたのは高校までだし」
と言いながらもグラスに注ぐその手付きなどはやはり慣れている感じだ。
クリスマスの時も手際がいいなーとは思ったが、こんなところまで完璧だとこいつに欠点などあるのかと思ってしまう。
と思った灯里だったが、重大な欠点を思い出し思わず目をそらした。
その欠点にこれまでずいぶん苦しめられてきたはずなのに、つい忘れてしまった。
……この雰囲気に呑まれたのかもしれない。
それとも、これも悪魔の魔力なのだろうか?