悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「結婚することが不安なんじゃないの。ただ、これまでの生活と変わるんだろうなって思ったら……」
「まぁ、お前はずっと実家暮らしだからね。不安に思うのは仕方ないよ」
「あと、仕事とか。どうすればいいのかな、って……」
灯里の言葉に、玲士は灯里の指先を握る手に力を込めた。
……灯里を安心させるような、その力強さ。
玲士は灯里の手を握ったまま、口を開いた。
「灯里はどうしたいの? 忍村商事にずっと勤め続けたいの?」
「……」
「おれとしてはね、お前に東京に来てほしい。お前が仕事をしたいならすればいいし、したくないならしないでいいよ」
「玲士……」
「でもお前が今の会社に勤め続けたいなら、おれも考えるよ。方法はあるはずだからね」
玲士の言葉を灯里は無言で聞いていた。
――――自分が、どうしたいのか。
今の会社に勤め続けたいのか、それとも……。
考えこむ灯里に玲士はうっすら笑って言う。
「辞めたおれが言うのもなんだけど。おれとしてはぜひとも、お前にあの会社を辞めてもらいたいね」
どことなく皮肉げなテノールの声に、灯里は驚いて眉を上げた。