悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
三章
1.衝撃の事実
金曜日。
灯里はバッグを片手に会社の門をくぐった。
頭上に湿気を含んだ重たい雲が広がっている。
今夜は雨が降るらしい。
今日は両親が病気の叔母の見舞いのため留守にしており、灯里が柾貴と二人分の夕飯を作らなければならない。
柾貴はそろそろ帰っているはずだ。
灯里が作れるものといったらカレーぐらいだが、二人ならそれで充分だろう。
と思いながら歩いていた、その時。
「こんにちは、灯里さん」
道路の脇から出てきた女性に灯里は驚き、足を止めた。
長くまっすぐな茶髪に、濡れたような黒曜の瞳。
背は灯里より7、8センチほど高く、華奢ですらっとしている。
亮士の妻・理代だ。
「こ、……こんにちは」
「突然ごめんなさいね、灯里さん」