悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「誘ってきたのは彼の方だったわ。あの頃はまだ本当に美少年という感じで。私もつい、ふらっときちゃったの」
「……」
「でも私と亮士の結婚話が持ち上がって……。それで彼は怒ってしまって。それからずっと、彼は私を憎んでいるの」
理代は哀しげに息をつき、続ける。
灯里は混乱の極致に突き落とされた。
――――理代が言っていることの意味がわからない。
ぐっと胸を押さえた灯里に、理代はそのままの口調で続ける。
「私、彼を傷つけたことを謝りたいの。けれど彼は私の言うことなど全く聞いてくれなくて……。嫌われてるのよ、私」
「……」
「でも婚約者の灯里さんが言えば、聞いてくれるんじゃないかと思って。本当はこんなこと、灯里さんに頼めることじゃないけれど」
理代の言葉は灯里の心を刃物で切り裂くように抉っていく。
灯里は呆然と目を見開きながら、理代の言葉を聞いていた。
――――玲士が、理代と関係を持っていた?
しかも、玲士から誘った?