悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~



「……っ」


嘘だ、信じたくない。

灯里は目を見開いたまま、膝の上でぐっと拳を握りしめた。

冷たい汗が背筋を流れていく。


「灯里さんが信じたくないのもわかるわ。けれど私たち、義理姉妹になる仲でしょう?」

「……」

「玲士君としてもこのままの関係をずっと続けるのは辛いと思うの。だから過去の確執は早めになくして、お互い仲良くやっていけたらって思って……」


理代は目を細め、哀しげな声で続ける。

灯里はしばしテーブルを凝視していたが、やがてゆっくりと顔を上げ、理代を見た。

その顔はこれまでにない苦しみに染まっている。

灯里の唇がわななくように震える。


「理代さん。……なぜこの話を、あたしにしたんですか?」

「最初に言ったけど、灯里さんに、玲士君に私を許すように伝えて欲しかったから……」

「そうではなくて。あたしが誰かに言うとか、考えなかったんですか?」


重い声で呻くように言った灯里に、理代は少し目を細めて笑った。

――――余裕すら感じる笑み。

灯里はその笑顔に背筋がぞっとするのを感じた。


< 89 / 222 >

この作品をシェア

pagetop