悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
2.混乱
喫茶店から出た灯里はふらつく足取りで駅の方へと向かった。
途中買い物のためスーパーに寄ったが、はっきり言って何を買ったのかすらもよく覚えていない。
適当に野菜と肉を買い、家に帰り、キッチンに立った。
しかし理代に言われたことが頭を駆け巡り、包丁を持つ手元がおぼつかない。
「お、お姉ちゃん、ニンジンってその切り方でいいの!?」
隣で見ていた柾貴が悲鳴を上げる。
見ると、ニンジンのど真ん中に包丁が真上から突き立っている。
灯里は慌てて包丁を抜き、柾貴を見た。
「……ご、ごめんね、驚かせて」
と言う手元が既に怪しい。
柾貴はまな板の上に転がったニンジンを取り、引出しからピーラーを出した。
「お姉ちゃん、ぼくがニンジンの皮剥くよ。お姉ちゃんはタマネギを切って?」
「あ、うん……」