写真嫌いと男嫌いの私がモデル?
             ●勇輝●

俺は、男が嫌いと言ったあの女に話しかけた。

「おい」

俺が話しかけてもあの女は、何も言わない。

「おい」

俺が何度呼んでも何も言わなかった。

何だよ……無視かよ……

俺は、ただこいつが男が嫌いと言うから優しくしようと思っただけなのに……

俺は、次第に段々腹が立って来た。

あの女の方を見ると体を震わせて怖がってた。

そこまで男が嫌いなのか?

でも、無視とは何だよ……

「お前、さっきから俺が何度も呼んでるのに無視するとは、いい度胸だな」

俺は、優しくしようと思ったけどもう無理だった。

違う……俺が言いたいのは、それじゃない。

「何ですか……?」

やっとあの女は、しゃべった。

しかも“何ですか……?”って声震わせて言ってた。

そんなに俺が怖いのかよ……

何かムカツク……

「何ですかじゃねぇよ。それより、何で男が嫌いなのにこんな所に来てるんだよ」

俺は、つい怒り口調になった。

やべぇ……あの女は、かなりびびってる。

もしかして泣くかも……

光輝に優しくしろっと言われたのに……

でも、俺にどうやって優しくしろと言うんだよ。

俺は、優しくするとか苦手なんだよ。

あの女は、やっと口を開いた。

「詩織に無理やり連れて来て」

はっ? あの女は、自分で男嫌いを直すために来たんじゃなかったのか?

意味わかんねぇ。

じゃあ、来るんじゃねぇよ。

「じゃあ、帰れば」

俺は、つい本音を言ってしまった。






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