写真嫌いと男嫌いの私がモデル?

あっ、居た。

私は、勇輝が座ってる所に座った。

「勇輝、何でモデルやめたの?」

私は、言った。

「お前、何で分かったんだよ」

勇輝が言った。

「前、私が家出した時に勇輝がここに来てたから」

「俺は、もうモデルやめたんだ。やめようがやめないとか俺の勝手だろ」

勇輝が言った。

「勝手かもしれないけど、皆心配してるよ」

私は、言った。

「別にお前には、関係ないし」

私は、勇輝の言葉に腹が立った。

人が心配してるのに……

「関係あるよ。だって勇輝は、私が家出した時私を励ましてくれたでしょ? だから私も勇輝に何かしてあげたいし……」

私は、泣きながら言った。

「分かったって。場所変えて話そうぜ」

勇輝が言った。

私と勇輝は、フルーツカフェから出て近くの公園に行った。

「お前、何がいい?」

勇輝が私に聞いて来た。

「オレンジがいい」

私は、言った。

勇輝は、私にオレンジジュースを渡した。

「ありがと」

私は、それを受け取った。

勇輝は、私の隣にベンチに腰を下ろした。

「あのな俺、何から話したらいいか分かんねぇけど……俺……」

勇輝は、全て私に話してくれた。

勇輝にそんな事があったと思わなかった。

勇輝のお母さんが勇輝をかばって死んだこと。

それを知った勇輝のお父さんは、勇輝に『二度と帰ってくるな。この悪魔の子が』と言って勇輝は、罪悪感を感じて家を飛び出してモデルをやめた。

勇輝、辛かったね……

なのに気づいてあげられなくてごめんね……

私は、そっと涙を流して勇気を抱きしめた。
< 272 / 285 >

この作品をシェア

pagetop