写真嫌いと男嫌いの私がモデル?
「何でお前が泣いてるんだよ……」

勇揮が言った。

「勇揮が辛いのに私、何もしてあげれなかったから……」

私は、言った。

「お前は、今こうして俺を励ましてくれてるし、そばに居てくれてるだろ? それだけで充分だから」

勇揮は、笑ってそう言った。

勇揮、何か無理して笑ってる?

無理して笑わないでよ……。

「勇揮、辛いなら辛いって言っていいんだよ……だから無理して笑わないで……」

私がそう言うと勇揮は、「お前には、バレてるか。俺、本当に格好悪いな。俺、お前だけには本当の事言うな。俺、本当は辛くて誰かに俺の話を聞いてもらいたかったんだ……でも、今お前のおかげでちょっと楽になった。ありがとな」

勇揮が言った。

“ありがとな”

勇揮が言った言葉

いつもは、素直じゃないくせに……

「勇揮、本当はモデルを続けたかったんじゃなかったの?」

私は、勇揮に言った。

「お前の言う通り俺、本当はモデルを続けたかったんだ……でも、俺はもう決めたんだ」

勇揮が泣きながら言った。

「勇揮……」

私は、再び勇揮を抱き締めた。

勇揮も私を抱き締めてくれた……

もう、空は真っ暗だった。
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