夢
序章
足が痛い。
それでも走る。
「いやだ……。こないで!!!」
ペタペタペタ。
乾いた不気味な音が、広く冷たい廊下に響き渡る。
カシャン
ポケットから携帯電話が落ちる。
そして、ひとりでに電源がつき、狭い範囲をほんのり明るくする。
画面には、電話番号が表示されている。
着信。
トゥルルル…トゥルルル…
通話。
「助けて!!お願い!!たすっ…!」
「あ、紗枝?麻衣だけど」
電話の相手は、何がおきたか知らない。
だがそこには、たしかに。
赤より朱色に近く、錆びた鉄のような臭いの液体が、広がりつつあった。
「紗枝?どうしたの?」
そんな声と、
「『麻衣』……ふふ……」
微笑する声だけが響いていた。
それでも走る。
「いやだ……。こないで!!!」
ペタペタペタ。
乾いた不気味な音が、広く冷たい廊下に響き渡る。
カシャン
ポケットから携帯電話が落ちる。
そして、ひとりでに電源がつき、狭い範囲をほんのり明るくする。
画面には、電話番号が表示されている。
着信。
トゥルルル…トゥルルル…
通話。
「助けて!!お願い!!たすっ…!」
「あ、紗枝?麻衣だけど」
電話の相手は、何がおきたか知らない。
だがそこには、たしかに。
赤より朱色に近く、錆びた鉄のような臭いの液体が、広がりつつあった。
「紗枝?どうしたの?」
そんな声と、
「『麻衣』……ふふ……」
微笑する声だけが響いていた。