無自覚な指先【密フェチ】
「なんですか」
私の視線に気付いた彼はこちらを振り向き、迷惑そうに眉根を寄せた。
少し赤らんで見えるのはライトのせいだろうか。
「あ……ごめん。手が綺麗だなって」
私の視線に気付いても、密かに色っぽいと思いながら見ていたなんて、考えもしないだろう。
綺麗と言われたのは初めてなのか、彼は不思議そうに自分の手を見つめた。
広げられた大きな手と綺麗な指に、私の目は釘付けになる。
「そうですか?」
「指が……長いのかな」
平静を装ってみるが、切羽詰まった声になった。
きっと彼は、私がこんなに鼓動を速くしている理由なんて気付きもしない。