だってキミが好きだった








「……何」


「な、なんでもない」







怪訝そうな顔をした彼を見て、急いで顔を逸らす。



……のはいいけど、何でだ。




何で横向いちゃったんだ私。




普通なら下向くのに。



これは不自然すぎる。




しーんとした空気が流れる。



き、気まずい…。




焦りながらそう思っている、と、







「……はぁ」







そんなため息をが聞こえ私が座っているベンチに重みが増した。




な、んで……。







「……」


「……何、座っちゃいけねぇの?」


「い、や」


「そ」








一言そう言った彼はソッと目を閉じる。




風に乗って彼の黒髪が靡く。




色素が薄い茶色の髪の私とは違う色。



綺麗で、憧れる。彼の綺麗な顔にも似合う。





……に、あう……。




ハッとした私は急いで顔を前に向ける。

彼を見ないように。




……だって。







「……私服」







見るの久し振りだ。



あの時と変わらずシンプルな服装。



だけど彼には似合いすぎ、ってぐらい似合ってる。



直視できない。






「……ねぇ、あの人ー」


「うわ、めっちゃ美形!」


「隣の子って彼女かな?」


「じゃない?やばいね、美男美女カップル!」









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