だってキミが好きだった
あーもう。
どうしよう、本当にどうしよう。
第一なんでデートなんか……。
あー、もう……。
ダメだ私。
ごちゃごちゃ考えていて私は気付かなかった。
「……美男美女カップル、ね」
隣でそう小さく呟いた、彼に。
「菫ー!千早くんー!」
あれから10分後。
「あ、瑞希。……と、」
瑞希と瑞希の彼氏が二人揃って来た。
「あぁ、初めまして。西条 悠(サイジョウ ユウ)、よろしく」
「……初めまして。青柳 菫です」
ニコリと笑って言う悠さんに私もニコリと笑ってみせる。
瑞希の彼氏だし、ね。
……それにしても。
焦げ茶の髪に焦げ茶の瞳。
二重瞼で垂れ目。
笑った姿は幼さを感じさせる。
……確か前に瑞希が彼氏は高校3年って言ってたっけ。
1年に見えるんだけど……。
童顔、ってことか。
でもまぁ見た目は好青年。
「……ん?ソイツは?」
私から視線を外した悠さんは、私の隣にいる彼に視線を向ける。
一瞬だけ、悠さんの目が見開かれた気がした。