だってキミが好きだった
「あー、ほら。菫の彼氏!あれ?言ってなかったっけ?」
「あ、あぁ、いや。……よろしく」
「……よろしく」
……なんだかなぁ。
悠さん、もしかして彼と知り合いなんだろうか。
なんだか彼を知っているような反応だし……。
でも彼は普通。
どういうこと?
頭の中はハテナでいっぱいだ。
チラリと瑞希を見てみれば、瑞希も私を見ていたみたいで視線がぶつかる。
その顔は“どういうこと?”と訴えているみたいだ。
……まぁ、良くは分からないけど、
「とりあえず行こうよ、遊園地」
私がそう言えば、「……だねー」と、瑞希が返事をした。
きっとさっきまで疑問に思ってたことなんて「まぁいっか」で済ませてるんだろうな。
まぁ、遊園地に行くって決めたの瑞希だしね。
瑞希曰く“初デートなら、まずは定番から行こうよ!”らしい。
でもきっと瑞希が行きたかっただけに違いない。
今回のデート楽しみにしてたんだろうなぁ……。
「そうだな、行こうか」
ニコリと笑って言う悠さんは爽やかだ。
瑞希爽やか系男子が好みだったんだろうか。
そう思いながらベンチからスッと立ち上がる。
そしてそれを見た彼もゆっくりと立ち上がった。