だってキミが好きだった
「遊園地ってここからすぐ近くだよね?菫達場所分かる?」
「私は分かるけど……それがどうかしたの?」
「いやー。……じゃあ行こ、悠!」
「ん?ちょ、瑞希……!!」
「菫ー!先行ってるねー!」
……そういう意味ね。
どんどん小さくなっていく瑞希と悠さんの姿を呆然と見ながら私は一人、納得する。
瑞希のことだから、本当は違うけど初デートの私達に気を使ったんだろうな。
それか、二人っきりになりたかったか。
……私としてはなるべく、二人っきりにはなりたくなかったんだけど……。
瑞希と悠さんがいなくなって、気まずい空気になってしまった。
どうしよう……。
「……行くか」
お互い一言も発さなかった中。
意外にも声をかけてきたのは彼。
「え……」
「何」
「あ、いや……行こっか」
私の言葉を聞いた彼は何も言わずにスタスタと歩いて行く。
彼は遊園地の場所知ってるのかな。
そう疑問に思いながら、彼の左に並んだ。
「……」
「……どうかした?」
「……いや」
何でそんな驚いたような顔……。
あ、もしかして隣に並んだらいけなかったかな。
ベンチに並んで座ったから…隣に並んでもいいのかな、って思ったんだけど……。
うーん……。
でも、
彼は片目で歩いてるわけだから。
ごめんね、ワガママだけど……。
心配だから嫌でも隣に並ばせてください。