だってキミが好きだった
「……なんで俺一人で回んだよ」
「……え?」
「俺一人で回るの、色々疲れる。……それにアンタはどうするわけ?」
「え、それは……まぁ最初は瑞希達に付いて行こうかなーって」
「白井、いないけど」
「……はい?」
クルリ。
瑞希達がさっきまでいた方を見てみれば、そこには彼の言った通り二人の姿は無い。
いや、ちょっと待って。
「な、何でいないの……」
ポカンと口を開けて唖然する。
きっと今私は変な顔をしているんだろう。
その証拠に、
「変な顔」
あっさりと彼に言われてしまった。
少し悲しい。戻そう。
開いていた口を閉じ、はぁ、と溜息を吐く。
瑞希達何処行ったんだか。
もうほんと、困るじゃ――
――ブブッ
思考を遮ったバイブ音。
それは間違いなく私のケータイのもので。
バッグから急いでケータイを取り出して画面を見てみれば、そこには【瑞希】と映し出されていた。
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私達二人で回るねー!
これでも気、利かせたんだよ
初デート頑張って!(^^)!
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……なる、ほど。
嬉しい、嬉しいんだけど……。
なんか複雑……。
「……千早くん」
「何」
「瑞希……悠さんと回るみたい」
「だと思った」
「……え」
「アンタ俺と回ってよ」
「は、」
「仮にも付き合ってんだろ」