だってキミが好きだった
もう彼に恋することも出来なければ、会うことも出来ないけど。
でもだからこそ、最後にする。
色褪せない記憶にする。
そう、決めた。
「先生ー!早く見せてくださいよ、噂の転校生!」
「すんごい楽しみなんですけどー!」
「見せてくださーい!」
「うるさいなぁオマエ等。分かったっての」
はぁ、と息を吐く先生に同感。
キンキンした声は、頭に響く。
もうちょっとボリューム下げようよ。
この時の私は、知らなかった。
「よし、じゃあ入ってこい、景山!」
その転校生が、
「きゃー!!カッコいいー!!!」
「半端ない!!」
「やばっ!!!」
まさか、
「皆、仲良くしてやれよー。転校生の、―――景山 千早(カゲヤマ チハヤ)だ」
―――彼、だなんて。