だってキミが好きだった
自分が目を見開いているのが分かる。
どうして。
思うことはそんなことだ。
私は最近、そう思うのが増えた気がする。
“どうして”
その言葉は、
『どうして……!!』
やっぱりあの記憶を思い出させる。
それは千歳さんの名前が出たせいなのかもしれない。
「終わったよ、悠たちは終わった?」
「あぁ、終わった。……どうしたんだ?アイツ。あんなとこで固まって」
「あぁ千早くん?んー、まぁちょっとね。……知っておいた方がいいかなって思ったから言ったんだけど……あまりの反応に驚いたよ」
「……まぁそれは俺もだな」
「ほんとだ、菫も固まってる」
混乱してたから、分からなかったんだ。
彼が瑞希に言われた“何か”のことで固まってるのも、
瑞希と悠さんの間でそんな会話がされていたことも。