だってキミが好きだった
***
――カツン、カツン
日も暮れようとしている時。
“OASIS”とは反対方向の道を何故か進んでいた。
駅とも反対。帰る筈なのに、なんでこっちを歩いているんだろうか。
この道を進めば、あの場所に着いてしまうと言うのに。
ほら、もうすぐに。
あと少し進めば着いてしまう。
いいの?
着いちゃうよ?
あの場所に、着いちゃう。
幼いあの子と一緒によく来たあの場所へ着いちゃうよ?
――カツッ
「……っ」
どうして、なの。
「久し振り、だ」
私の足は、どうして此処に向かってしまったの。
「ねーおにごっこしようよ!」
「うん!する!じゃあじゃんけんだね、まけないよ!」
「「じゃーんけーん、」」
変わってない。
小さな子供たちがキャーキャーとはしゃいでいるその光景は、私が知る光景と同じ。
変わって、ない。
この“公園”はいつでも笑いに包まれてる。
「……」
ふらりとおぼつかない足取りで中へ入っていき、目線の先に映るベンチへと向かって行く。
ストン、と座れば公園は公園でも彼と仮デートに行ったときに待ち合わせをしたあの公園とは違う光景が広がった。
笑い合う子供達の姿を見ればズキリと胸が傷んで、視線をサッと逸らしてしまう。
この公園に来たのは、間違いだったに違いない。
来てはいけない……いや、来たくなかったんだ、ここには。
ここには思い出がありすぎる。