だってキミが好きだった
キミと意思(仮タイトル)
『ねぇすみれちゃん』
『ん?何?』
『ちはやくん、大丈夫だよね?』
『……大丈夫、だよ』
『本当に大丈夫だよね?ちはやくん、右目が包帯に巻かれてたよ?ぐるぐるって、巻かれてたよ?』
『……う、ん』
『ちはやくん、見てなかった。“ミナ”のこと、見てなかったよ』
『……』
『お願いすみれちゃん。ちはやくんを助けて』
――今でも思い出すこの記憶の中に、確かにあの子は存在していた。
『すみれちゃん、お願いがあるの』
この時、あの子のお願いを聞いていなければ、
――あんなことにはならなかったのかもしれない。