だってキミが好きだった







千早くんの目をジッと見て言うが、当の本人は表情一つ変えず、無表情のまま。





その反応に眉間にシワを寄せる。






「……答えれないこと?」


「……」


「……はぁ、分かった」






答えられるのか答えられないのかは分からない、だけどただ一つ。




千早くんが私の質問に答えることはないことだけは分かった。






「……本当はさー、菫に彼氏が出来て一緒にいる時間が削られちゃったのが少し寂しいんだよねー。自分勝手でしょ。私も彼氏いるのに」


「……」


「でも、だからこんな風に菫と千早くんの関係を疑っちゃうのかも。ごめんね、千早くん」


「……」


「後で菫に謝らないと」






クスクス、と笑って立ち上がった私は窓に近付き下を見る。





窓から見える中庭には、隅にいるさっきの男と菫の姿が目立っていた。





涼しい風が私の髪の毛を連れ去る。






「おー、やってるやってる。くそう、近くで見たかった」






顔を赤くしている男。今は丁度「好きです」とか言ってる時かな。





でもすぐに傷ついた様な、そんな顔になる。





やっぱり振っちゃったのか。



たぶん人目を避けて隅を選んだんだろうけど、二人共容姿がいいからかえって目立ってるよ。





ほら、そこら辺の人達二人見てコソコソ話してる。






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