だってキミが好きだった
青柳 菫(アオヤギ スミレ)。それが私の名前。
普通の、どこにでもいる幸せな女子高生。
友達もいるし、家族とも仲が良いし、勉強もそこそこ出来る。
ただ、
―――1ヶ月前、人生で最大の痛みを味わったこと以外は。
「おー菫ー、おはよー!元気?」
ふと聞こえた明るい声。
見知ったその声は、いつも明るい気がする。
うー……。くたばる私が元気に見えるなら、アンタの頭が凄いよ。
その明るい声どうにかしてくれ。今の私と違いすぎる。
「……アンタは元気そうだね、瑞希(ミズキ)」
机から顔を上げてそう言う私の声は瑞希とは違って暗い。
朝からなんでそんな明るいの、アンタ。
普通この暑さじゃあくたばるでしょうよ。
「私はいつでも元気ですからねぇ。何々ー?この白井 瑞希(シライ ミズキ)の元気を分けてあげようかー?」
「分けてよ分けて。今すぐ分けて」
「まぁ嫌だけど」
「じゃあ言うな」
軽く睨むと、瑞希はあはははっと面白そうに笑う。
クシャリと笑う瑞希の笑顔は、いつ見ても美人さんだ。