だってキミが好きだった






***






静かなタイルの廊下。音といえば私が歩く音ぐらいしかしない。




あーあ、もう授業始まってるだろうなー。あーもう、サボっちゃった。授業わかんなくなっちゃう。



でもそれでも。



今は、授業に出る気にもならないけど。






「……痛い、なー」






ズキリ、ズキリ。


図書室にいた時と同じように、まだ続く胸の痛み。


痛い痛い。なんなんだこの痛みは。


もうほんと嫌だな。


私本当にカウンセリングでも受けようか?






「……っ、痛い、よ」






胸が、どうしようもなく痛いよ。


どうしよう、どうしよう。



溢れる涙を、もう止められない。



逃げ込みたい。


早く、早く逃げ込みたい。



歩調を速めながら廊下を進んで行くと、見えてきた一つの扉。



それはまさしく、私が逃げ込みたかった場所。



彼が行かなかった、あの場所。





――保健室。





その白い扉をガラリと開ければ、エタノールの香りが香る。


あの図書室とは違う香りが、どことなく私を安心させた。






「……あれ?青柳さん、どうしたの」






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