だってキミが好きだった
中から聞こえてきたソプラノの綺麗な声。
「……青柳さん?」
その声の主が、私に近づいているのが分かる。
それでも、私はその声に返すことすら出来ない。
「……泣いてるの?」
泣いてる?私が?
……そうだね。
泣いてるよ。
「どうしたの?私に……先生に、話せない?」
話せる話せないの問題なんかじゃない。
自分だって何で泣いてるのか分からない。
「……とりあえず、少し休みなさい。ベッドに横になっていいから。ね?」
今は、先生のその優しさに感謝。
溢れる。涙が溢れる。
溢れてなんか、欲しくないのに。
なんで泣いてるかさえ、分かんないのに。
どうしてこんなに胸が痛むのかさえ、分かんないのに。
先生に誘導されながら、私は清潔なベッドにストン、と座らせられる。
図書室のあのソファーとは違う感触。
どうしてだろう。
図書室で感じたことと違うのが、こんなにも私を安心させる。
「……ゆっくり休みなさいね」
シャッと音がして、私の視界にピンクのカーテンが映る。