だってキミが好きだった







でも、そのピンクのカーテンも次第にさっきの光景になっていく。


彼の絶対零度の瞳が忘れられない。




“アンタ、俺の嫌いな人間”




そう言った彼の言葉が忘れられない。


冷たい音色が忘れられない。



ズキリ、ズキリ。


まだ胸は痛んでる。



彼と他人になる。



それが、こんなにも辛いことだなんて思ってなかった。



本当なら、これで良いんだ。



彼が私に近づかないなら、それで良いんだ。




……だけど。




見たことの無い彼を見たら、胸が痛んだ。



何なんだろう。私はまだ、彼に未練でもあるって言うのか。




いやいや、それはないでしょうよ。



だって私はちゃんと言ったはずだ。




お別れを、言った筈だ。




ケジメもちゃんとつけたけた筈だ。



なのに未練なんて……今更無い。



絶対に、無い。



じゃあ、これは何?



この痛みは、何?



どうして見たことのない彼を見て胸が痛むの?






こんなの、変だ。





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