だってキミが好きだった
「……なんなの?そうかもしれないけど、今千早くん聞いてないからいいじゃん。……もしかして、青柳さんも千早くん狙い?」
驚いたような顔をする彼女達に、苛立つ。
彼を狙ってる?
違う。
狙う筈がない。
そんなことよりも、だ。
彼が聞いてないからいいってどうゆうこと。
「……ひどいね」
「は?」
「……聞いてなかったらいいって、ひどい」
「……喧嘩売ってるの?」
体を私の方へ向けて、一人が私を睨みつける。
あー、なんか面倒になったな。
でも、許せないものは許せない。
止めていた足を動かし、前へ進む。
彼女達と私の距離が、縮まった。
「……喧嘩は売ってないよ」
「……嘘つかないでよ」
「別についてないけど」
「……」
ある程度距離が縮まり、足を止める。
「……何なの?所詮は他人でしょ。何でかばってるの。もしかして本当に好きなの?」
口角を上げて、彼女は言う。
私達は“他人”だと。
……その通りだよ。
他人。他人なんだ。
だからこそ、彼女たちに言いたい言葉も言わなかった。
他人だからこそ、言わなかった。
だけど。
“ひどい”
そう言うことさえいけないことなの?
「……好きなんかじゃないよ。……そうだね、他人がどうこう言う問題でもないか」