だってキミが好きだった
……ごめん。
ごめんね。
ごめんなさい。
キミを苦しませて、ごめんなさい。
「……っ、」
余程苦しいのか、顔を歪めながら彼は顔を横に向ける。
サラリと揺れた前髪からチラリと除いたのは、
右目の近くにある、傷跡。
新しいものではない、傷跡。
その傷を、私は知っている。
「……ごめんね」
目頭が熱い。
声が震える。
だけど涙は流さない。
その場にしゃがみ彼と目線を合わせる。
やはり彼は苦しそう。
辛そうだ。
その姿を見るだけで、悲しくなる。
だからか。
私の手が吸い込まれるように。
彼の方へ伸びた。
「っ、」
しかし、彼の髪を触ろうとしていたのに気付き、ピタリと止める。
何やってんの、私。
何、やってんの。
スッと、急いで手を引っ込めようとする。
が、しかし。
「……」
「……」
……うそ、どうしよう。
手を引っ込めようとした瞬間。
彼が、運悪く目覚めてしまった。