だってキミが好きだった
夜中の散歩、か。
いっつもこんな夜中に起きないし…貴重な体験じゃん。
この先は……あぁ、公園だ。
懐かしいなー。
よく遊んだっけ。
ちょっと寄って行こうかな。
まぁ危ないだろうし、程々にして帰らないと――、
「う゛っ、」
バキッ。
そんな低く鈍い音と共に聞こえた男の唸り声。
その声が聞こえ、私は歩みを止めた。
……何、今の声。
何、何なの。
どうしたの。何が起こったの。
いきなりのことで混乱する頭。
どうしよう。帰ったほうが良いのかな。
……でも、今の。
絶対に怪我してる。
拳をグッと握り締めて震える足を頑張って動かす。
気づけばダッと走って声のした方へ向かっていた。