だってキミが好きだった







怖い。



それが正直な感想だ。



でも。



満月を見上げるその姿は儚い様にも思える。





ずっと佇んでいた私は彼を見てそう思っていて。



すると、その彼は突然顔をこちらに向けた。







「……あぁ、アンタ」







突然こっちを向いたことにも驚いたけど、その声にも驚かされた。



低い声は変わらない。


だけど感情だけこもっていないんだ。



思わずビクリ、と体が震えた。






「……何してんの」






……彼の目には私は映ってるのかな。



暗いせいかもしれないけど、


彼の目には何も映ってないように見える。






「……それは私のセリフだよ」








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