だってキミが好きだった







唇をグッと噛み締める。



次の瞬間には走って彼に近寄っていた。






「……あぁアンタ。まだいたの」







冷たい目。

冷たい声。



でも何処か、



悲しそうだ。






「……」






彼の言葉に返事はしない。



いや、出来ないかな。



やっぱり今の彼には怖気づいてしまう。




それでも私は彼と視線を合わせてその冷たい目を見つめる。



そしてゆっくりと彼の手首に手を伸ばした。



彼はそれを拒否しない。




ただつまらない物を見るかの様に私の手を見るだけ。



だから私は躊躇なく彼の手首を引っ張り、公園の出口に向かって走り出した。






はぁ、はぁ、と息があがる。



体力が無い上に、さっきも走ったからな……。



でもさっきまで喧嘩みたいなのしてた彼が息乱れてないって何なの。



体力の違い?



走りながらそう考え、公園を出る。



走って走って。


結局は何処かの路地で立ち止まってしまった。



流石に体力の限界……。






「……」


「……」






お互い一言も言葉を発さない。






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