だってキミが好きだった
そう思った、丁度その時。
「おーっす。皆元気かー?HR始めるぞー」
ガラリ。そんな扉を開ける音と共に、低い男の声が教室に響き渡った。
その声を聞くと共に、クラスの人達は急いで自分の席に着く。
勿論、瑞希も「やばっ、」とか言いながら自分の席―――私の前の席に座った。
伏せた顔を上げて、頬杖を付きながら入ってきた人物を確認。
まだ若いその人は、まさしく私のクラスの担任。
相変わらずの爽やかな顔だ。女子に人気なのも分かる。
あぁ、やっとクーラーつけてもらえる。ふぅ、私頑張った。偉いぞ私。
「せんせー、クーラー!」
「わかってるっての。おい窓閉めろー」
その声に、窓際に座る数人の人達が急いで窓を閉めていく。
うん。皆も暑かったよね、やっぱり。
瑞希はやっぱり感覚可笑しいんだよ。
先生がクーラーのボタンを押して、教室に涼しい風が吹く。
これで、今日一日大丈夫。やっていける。
そう思うと、ふぅ、と知らぬ間に溜息が出た。
「ねぇちょっと、菫ー!」
「……どしたの」
「転校生、まだかなー!?」
「あー……そういえばそんな話してたね」
「ついさっきのことじゃん!」
「暑すぎて覚えてない」
「あーそうですかー」
棒読み……。いやだって暑かったんだから仕方ないじゃん。うん。