だってキミが好きだった








あの癖見せられたら気になるでしょうよ。




問う私に彼はピクリと反応する。



そして目を細めた。






「……アンタ、何でそう思うわけ?」






私が質問したのに質問で返されてしまった。



まぁ……でも。




この質問はくると思ってたよ。






「女の勘?」


「……は?」


「だから、ただの女の勘」






そう言う私に彼は一瞬目を丸くした。



彼の過去を知ってるから、なんて言えるわけがない。



第一知ってたら可笑しい。


私は飽く迄で“他人”だ。






「……」


「……」






お互い無言。



私達こういう空気になりやすいよね、なんか。



……昔から。




よくこうなってたな、と過去の記憶を思い出しながら彼を見つめる。



彼の綺麗な顔はまだ無を貼り付けたまま。







「……謝り、たかったんだよ」






彼の顔から無が消えた。



私から視線を逸らしぶっきらぼうにそう告げた彼。






「……は?」






謝りたかった?


私に?



……何を?



謝られる覚えなんてないんだけどな……。








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