だってキミが好きだった
幸せだったあの頃に。
笑い続ける私に彼は目を丸くする。
まぁ無理もないけど。
「アンタ……」
ポツリと呟かれた彼の言葉。
どこか戸惑っているように聞こえる。
ふぅ、と笑いを止めて彼を見てみればさっきとは違って驚いたような顔をしていて。
そんな彼を見て「ん?」と首を傾げた。
「……なんでも」
言い、真上を見上げる。
……なんだったんだろう?
まぁいいか。
彼の視線の先を辿り、行き着いたのはまんまるの満月。
公園でも見上げてたよね。
「満月、好きなの?」
私の知っている限りでの彼は別に満月を好きではなかったけど。
記憶が無くなってから、かな?
「……俺と似てるから」
ボソリと呟いたその言葉。
普段…学校とかならうるさくて聞こえなかったかもしれないけど。
この静かな空間ではしっかりと私の耳に聞こえた。
似てる……?
一体、何処がだろう。
疑問に思いつつも、さっきの言葉に驚いた。