だってキミが好きだった







「――でさぁ。……菫聞いてる?」


「窓の外、何があるんだろう」


「あ、はい。聞いてないですね。そうですよね。もういいよ」


「嘘だって。何?瑞希」






私が聞いてなかったせいか、瑞希はブーっと口を尖らせて私を睨む。




そんな不貞腐れなくても。






「……もう言わないもんねー」


「えー、何?気になるよー」


「菫が無視したから言わないもんねー」


「無視じゃなくてボーッとしてただけだよ」


「同じだよぅ!」


「えー。……ごめん」


「……むふ」


「……」


「何その冷めた目っ!」


「いやぁ、なんでも。それより本題は?」






若干引いたのは言わないでおこう。




話を逸らした私に気付いてるのか気付いていないのか分からないけど、


瑞希はショックを受けたような顔から一気にパアッと笑顔になる。




そんなに嬉しいことだったんだろうか。



少し興味を持ち、私はジイッと瑞希を見つめた。






「彼氏が出来たの!」







ポッと頬を染めてはにかむ姿はまさしく乙女。



キャーッとじたばたする姿はなんだか可愛い。




恋する乙女。




今の瑞希にはそんな言葉が似合っている。




じゃ、なくて。






「……は?」






彼氏?






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