だってキミが好きだった
なんだ、じゃあすぐに会えるんじゃん。
でもデートかぁ。
……うーん。
「ねぇ、私も一緒に行っていい?」
やっぱりなんだか心配。
「……え?」
嘘でしょ?
そう言いたそうな表情。
……そりゃそうか。
私邪魔者になるわけだし。
やっぱり行かない方がいいかな。
だけど瑞希の彼氏がどんな奴なのかすんごい気になるし……。
どうするべきか。
せめて私に彼氏でもいたら良かった。
それならダブルデートってことで行けるかもしれないのに。
「俺も行く」
うーんうーん、と悩んでいるとき。
横から聞こえた低い声。
「……え?」
「はぁ……?」
声のした方へ向いてみれば、
いつここへ来たのか。
そこには彼、景山 千早が立っていて。
それを見た瑞希は唖然。
いや私も唖然だけども。
「俺とコイツ、付き合ってるから」
ピシャリ。
その言葉を聞いた瞬間、体が固まった。
「ううううっそ!!!まじで!?」
「「「「ぅえ!?」」」
驚く瑞希の声。
……と、クラスの女子の声。
だけどそれよりも。
私にはさっき彼が言った言葉を理解出来なかった。
グシャグシャと掻き回され乱れる髪。
頭に感じる温もりは一体誰のもの?
え、私この温もり知ってるんだけども。