だってキミが好きだった
***
あー良い天気。
週末の朝。
窓の外に映る空は雲一つない。
晴天だ。
「ほんと、なんでこんなことに……」
うー。と、全身鏡の前に立つ私は頭を抱える。
今日はアレだ。“ダブルデート”の日。
結局決まってしまったのだ。ダブルデートが。
あの後、瑞希はすぐに彼氏に連絡を取って、もらった答えはOK。
私は相変わらず固まっていて反論することも出来ず勝手に決められてしまった。
確かに思ったよ?
ダブルデートならいけたかもって。
だけどだ。
何でその相手が彼?
あーもう。
ほんっとに困った。
……んだけど。
「……なんでちゃっかりオシャレしちゃってるの」
全身鏡に映る私は花柄のワンピースにダンガリーシャツを前結びにして、
髪型はいつものストレートを揺る巻き。
おまけにブレスレッドやイヤリング。
そんな小物まで付けちゃってる。
……ほとんど無意識だよ。
嘘でしょ?
「菫ちゃーん!あなた今日デートなんでしょ?時間大丈夫?」
ガチャリ。
そんな音がしたかと思えば、お母さんがドアを開けて私の部屋に入ってきた。
って、ちょっと待って。
「なんでお母さんがそのことを……」
「昨日ねー瑞希ちゃんに聞いたの!相手、千早くんなんでしょ?」
「……」
瑞希、そのことまで喋ったのか。
「……いいじゃない。ねぇ菫ちゃん?過去は過去。今は今よ?」
「……分かってる」
「……そう。じゃあ楽しんで来れるわね?」
「え?」
「そんなに割り切れてるなら楽しんで来れるはず!さぁ行ってらっしゃい!今日の菫ちゃんは普段の倍可愛いわよ!」
「え、ちょちょ、ちょっと待って…!!」
あわあわするけども、お母さんは私の背を押していく。