先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】



私は別に、
自分が先生にひいきされてるなんて思わない。


先生がせっせと私に
尽くしてくれてるからって、


それが「私だから特別」だとも思わない。


先生にしてみれば、ただの仕事だ。



多分それは、
私のクラスの人間ならわかってる。


先生を知ってれば、誰でも。



だけど先生は、黙ってれば
(あくまで黙ってれば)

ちょっとないくらい綺麗な顔をしてるから、

先生に教わってないクラスの生徒、


特に三年あたりの女子に、

かなり異様な好かれ方をしているのだ。


四月頃、休み時間に
三年の女子数人が
うちの教室にズカズカやってきて、

黒板にデッカく
(わざわざ新品のチョークを寝かせて使って)


「リョースケ・ラブ」


と書いていったのには、

その場にいた全員があ然とした。



もちろんそれは、
先生の目に触れる前に

キレイに消されてことなきを得たけれど。


・・・そういえば、
真っ先に席を立って

あのラクガキを消したのは、

タカオちゃんだったっけ。




トゥルルルルッ・・・



電話の音が止んだ。



まさにベストなタイミングで

お母さんが帰って来る。


一度お母さんがイタ電を取ってから、

その時間をリミットにして、
ピタリと電話は鳴らなくなるのだ。


・・・セコイよ・・・。



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