先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
「いってーな、どこに目ぇつけてんだ。・・・なんちゃって。」
語尾はふざけてても、
凄んだセリフの迫力がフツウじゃない。
青くなったおじさんが、
慌てたように手を引っ込める。
「あ、あんたが急に飛び出してくるから・・・」
「いや、冗談ですって。
俺は、謝ってもらえれば、
それで気が済みますもん。」
その言葉に、
おじさんは気まずそうな、それをこらえる様な、
へんな顔になる。
「この辺で許してもらっていいですか?
このままじゃ、お互い遅刻しちゃいますよ。」
そう言って男が腕時計に目をやると、
つられた様に
おじさんも自分の時計に目をやって、
「や、ほんとだ、こりゃまずい、」とかなんとか
あたふたと進行方向に向き直る。
それから二・三回
こっちを振り返るようなポーズをしてから、
足早に歩き出した。
謝れよ。
思ったものの、
それを言うのは自分じゃないだろ、と
大きく息を吐き出して気持ちを静める。
同時に、
背中に張り付いてたユリが、
うっとりとため息をついた。
「・・・カッコイイ・・・。」