先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
は!?と振り返って、
ユリの視線の先にいる自転車の男を見ると、
確かにそいつは、
ありえないくらい綺麗な顔をしていた。
しかも真っ直ぐに、人の目を見る。
「ケンカ売ってどうすんだよ。収拾つかねえじゃん。
いやあ、ウチの生徒だなとは思ったけど、引き返して正解だったな。
まさか、あそこでつっかかってくとは。」
てか、さっき
オッサンを轢きかけたの、コイツじゃないか?
「・・・ありがとう、ゴザイました。」
なんとなく言いにくい「お礼のあいさつ」は、
ユリの可愛らしい
「ありがとうございました~!!」にかき消された。
そのことに、
なぜかちょっとだけホッとする。
「周りに気をつけて歩けよー。」と
とってつけたようなことを言って、
男はゆっくりと自転車を走らせる。
自分たちと同じ進行方向に去っていった自転車を、
ユリと並んで、ぼうぜんと見つめ続けた。
隣りのユリは目が完全にハートマークだ。
悔しいけど、負けたと思った。
頭の中じゃ、
さっきの射抜くように強い瞳が焼きついて離れない。
「・・・『ウチの生徒』?」
ユリが疑問系でつぶやくのも、聞き流していた。