先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
その時、
廊下を走る足音がして、
クラスメイトのサトが近づいてきた。
「おー、サトダ、どした。」
先生は私の事なんか忘れたように
軽く、片手を上げる。
サトは切らした息を整えると、
「先生、由利さんが帰っちゃった・・・!!」
と、叫んだ。
私と先生は、顔を見合わせ、
それから、私は話も聞かずに
駆け出そうとした。
だけど一瞬早く、
先生の手が私の腕を掴む。
「待て待て待て。
帰ったんなら、俺が家に連絡するし。
後はやっとくから、タカオもサトダも、
教室に戻っていいよ。」
手をひらひらと振りながら、
なんでもないことのように先生に言われ、
サトがホッと息をつく。
先生に掴まれた私は、身動きもとれない。
「で、何があったんだ?」
ユリに対するうしろめたさで
知らせに来たんだろうサトは、
うつむくだけで、答えない。
「まあ、いいけどな。」
先生は苦笑すると、やっと、
私の腕を放した。
それから、
うつむいたままのサトの頭を
ぽんぽんとなで、
私たちの横を通って職員室に向かう。
廊下を曲がりきるかきらないかの所で、
先生が走り出すのが、見えた。