先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
具体的に、
何かがあったわけではないと、
サトが言っていた。
アヤの友達とお昼を食べながら、
ユリは機嫌がよさそうに
笑っていたという。
聞きにくい事でもズバズバと言う
アヤの言葉にも、
にこにことして答えていた。
登校拒否の事、
先生との噂の事、
何でも気前よく話すユリの様子に、
いつのまにか他のクラスメイトも集まって、
口々にいろんなことを聞いてきた。
ユリは、そのひとつひとつにきちんと答え、
クラスメイト達が
ある程度の好奇心を満たして離れていくと、
突然、ユリが帰り支度を始めたのだという。
そのくせ、
「ちょっとおトイレ行ってくるね。」と言って、
鞄を持って教室を出て行った。
他のクラスメイト同様、
あっけにとられてサトも見ていたが、
失笑するような空気の後、
誰もユリの行動を気にとめないのを見て、
先生に知らせにきたのだという。
「・・・何もないって、さあ・・・!」
思わず声を荒げそうになり、
サトがビクッとするのを見て、
なんとか、ため息で気もちをしずめた。
わかってる、ユリも悪い。
「・・・見つけたらデコぴんだ、あいつ。」