先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
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5月7日の4限の英語、
ハルキ先生が生徒を指名した。
「じゃあ、次をミスターサイトウ。」
サイトウさんは、答えなかった。
なぜなら彼女は、女子だから。
教室のあちこちで
押し殺したようなクスクス笑いがあがったけれど、
ハルキ先生は
ちょっと不思議そうな顔をしただけで
自分の間違いに気づけなかったらしく、
もう一度繰り返した。
「ミスターサイトウ?」
サイトウさんは、答えない。
クラス内に一瞬、
奇妙な緊張が走った。
これが他の生徒だったら、まだいい。
みんなもっとおおっぴらに笑い出したし、
そしたら先生もすぐに気づいただろう。
だけど彼女は、ちょっと厳しいのだ。
特にこういう、
メンツというか、
プライドというか、
そういうのに関わる事に関しては。
サイトウさんが、じっとハルキ先生をにらむ。
ようやくおかしな空気を感じて、
ハルキ先生が教室を見回す。
その時だった。