先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
ハルキ先生が、ゆっくりと顔を赤らめる。
いま初めて、
自分の間違いに気がついたのだ。
先生は、
いたたまれないという風に
首をすくめて、
テキストに隠れるような(無理に決まってる)しぐさをし、
それからおそるおそるテキストを下ろして、
二人を見た。
とても申し訳ないというふうに。
それから、ガラリと表情を変えて明るく笑い、
「そうだな、それじゃあ、
ミスサトウにお願いしようかな。」
そう言った。
その瞬間、クラス中が笑いに包まれた。
サトウ君は
照れたように笑いながら
テキストを読み始めたし、
サイトウさんも
つられたように笑いながら、
臨戦態勢を解除した。
それから滞りなく授業は終了し、
私は絶望的な気分になった。
ああ、ダメだこの先生。
ダメだ、このクラス。
そう思った。
申し訳ないという「ふうに」じゃなくて、
ハルキ先生はちゃんと謝るべきだったし、
サトウ君の冗談なんか
「ノる」べきじゃなかった。
だってサイトウさんの怒りはもっともだった。
サトウ君は笑いながら、傷ついていた。
なのにクラスのみんなは、
先生が冗談にノったら
いちばん面白いと思った。
口に出さずに、でも明らかにそう思った。
先生は「その他大勢」の
期待に応えて
「生徒」と「生徒」を無視したんだ。
生徒の気持ちを。
だめじゃん。