ラブ☆ロマンス



 蒼くんは周りの視線なんて慣れたもので、スタスタ校門を出ると、一歩後ろから付いてきてる私をチラリと見て……


「……葵さん。
 さっきの部長への言葉って何?」



 ――もしかしてずっと気になってたの?


「ふふっ
 気になるの?」

 なんだかちょっと嬉しくて。
 私の言葉に彼は一瞬真顔になっけど、次の瞬間には、口角がクイッと上がって――


「――俺に隠し事出来るの?」


 ――っ!


 意地悪な顔で私を下から覗き込む彼は、本当にズルい。


 最近、普段の掠れた声と、低い声をよく使い分ける蒼くん。

 時折見せる男の部分に、私はまだ翻弄されっぱなしで。



「……ズルい」


 まだまだ私の心を縛り付けるには十分過ぎて。

 私の反応に満足したのか、立ち止まった私の手を引いて、歩き始める彼。



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