ラブ☆ロマンス




「……吉田くん。とりあえず今日は帰るね。
 蒼くんには黙ってて?」

「葵さん!ダメですよ!
 今の話は気にしないで下さい。正直、葵さんが来てくれるの楽しみにしてる奴らもいるし、練習の励みになる奴もいる。
 部長として、これだけはハッキリ言えます!」

「部長!」

「……相田、いい加減にしろよ。
 葵さんが邪魔になってるなら俺だって断る。でも、葵さんは邪魔をしたり迷惑をかけたりしてないだろう?

 正直、今お前が言った個人的な意見は聞けない」



 いつも温厚な吉田くんが低い声でゆっくり話すと、相田さんは厳しい顔のまま、それ以上何も言えなくなった。




「でも……やっぱり今日は」


「帰るわ」と口を開いたと同時に、


「あ――っ 葵さんだ!」

「本当だ!
 今日授業なかったんですか?」


「あぁ〜!葵さぁ〜ん!」



 次から次へと私を呼ぶ声に……続きは言えなかった。




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