ラブ☆ロマンス




「今日早かったの?」


 私に気づいた彼が近付いてくる。



 ……帰るって言いづらいじゃないかぁ…。



「う、ん。
 ……蒼くんは今日遅かったね?」


 私がぎこちなく笑うと、彼は少し疲れた様子で小さく溜息を吐いた。



「担任から呼び出し受けて職員室寄ってたんだ。

 ……相田?」




 蒼くんは答えながら私を通り越して後ろの相田さんに気付いた。


 怪訝な顔の彼の様子に、正直怖かったけど私も相田さんに目を向けると、彼女はしゃがみ込んでいた。




「千香?
 ねぇ……大丈夫?」


 相田さんの友達が覗き込んでるけど、顔を手で覆って見えないらしく、心配そうに呼び掛けていた。


 蒼くんは「ちょっと待ってて」と私に言うと、相田さんの元へ急いだ。




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